KEF LSX II レビュー(byとりっく氏)

製品レビュー

初めまして。とりっくと申します。この度Onsite Audioさんからのご依頼にて、KEFのコンパクト&多機能スピーカー「LSX II」の試用とレビューをさせていただきます。
私自身このような小型スピーカーが大好きで現在20機ほど所有しており、日々音色の違いを楽しんでおります。特に今回は初めてのKEF製品の自宅使用ということで、とても楽しみながらレビューを書かせて頂きました。以下、レビューに入ります。

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LSX IIの外観や仕様

まずKEFというメーカーについてご紹介します。KEFは1961年創業の老舗スピーカーメーカーで、現在はイギリスのロンドンに本社を置いています。今回お借りした「LSX II」のような小型スピーカーから、2000万円を超える大型ハイエンドスピーカー「MUON」など、幅広い製品を展開しています。
このメーカーの特長は何と言っても優れた物理特性だと思います。最新の測定方法による評価はコンシューマー機最高クラス。聴感上も非常に「素直な音色」の機種が多い印象です。

LSX IIが自宅に届くとまず外箱の小ささに驚きました。取っ手も付いており片手で簡単に持ち運べます。

内容物は電源ケーブルと左右スピーカー接続用イーサネットケーブル、クイックスタートガイド、リモコンです。

詳細なマニュアルは内容物には付属しておらず、専用アプリ「KEF Connect」内で操作方法などを確認できるようです。

スピーカー本体の寸法は155×180×240mm(幅×奥行き×高さ)、重量は7.2kgとブックシェルフスピーカーの中でもコンパクトな部類です。デザインもいいですね。曲線を取り入れた造形から配色までおしゃれでリビングなどに置いても違和感がありません。側面や上面は布地になっていて持ち運びも気軽にできます。

アンプ内蔵のアクティブスピーカーですので設置も省スペースです。左右のスピーカー同士もワイヤレス接続できますが、聴感上明確に分かるくらいに有線接続(イーサネットケーブル)が良かったので、可能な限りそちらをおすすめします。

機能は非常に多様で十人十色の使い方があると思います。この点についてはKEFのホームページやネットに丁寧な説明がたくさんありますので、ここでは軽くご紹介させていただきます。
まず入力端子は本体に計5系統搭載されています。

・HDMI ARC
・TOSLINK光入力
・USB Type C
・アナログ3.5mm AUX
・RJ45 イーサネット

個人的にはHDMI ARCに対応しているのが嬉しいですね。サウンドバーのように手軽にテレビや映画の音が楽しめそうです。

その他入力端子も豊富ですが、このスピーカーの売りはやはり高音質ワイヤレス接続だと思います。Wi-Fi、AirPlay2、Bluetooth、Google Chromecastのほか、Roon Ready、UPnP Compatibleにも対応しています。Amazon Music、Spotify、Tidal、Qobuzなどの主要な音楽ストリーミングサービスにもしっかり対応、小型ながらとても多機能なスピーカーとなっています。

操作面はリモコンもありますが音量調整などの最小限の機能ですので、操作は主にスマホなどに専用アプリ「KEF Connect」を入れて行いますがなかなか便利です。電源のオンオフや音量はもちろん、音の補正など詳細な設定まで視覚的に分かりやすいです。説明書がなくとも直感的に操作できると思います。

使っていてとても魅力だと思ったのは、スマホから電源オン→Spotifyで音楽再生と、寝転びながら10秒足らずで音楽を流せます。セパレートシステムで聴いてきた私にとっては画期的なほどの便利さです。やはり好きな時にすぐ音楽を聴けるのはいいですね

ただ、ルーターがある部屋では操作は快適なのですが、別の部屋に行くと電波の強度は高いのに接続が不安定になります。ネットを見ても同じ症状の方がいるようですので、この点は留意する必要がありそうです。また、ニンテンドースイッチとBluetooth接続をすると1~2秒ほどの遅延が発生しました。こちらも安定して使用するには有線接続をする必要があります。また、PS5とHDMI ARCで接続したところ音が出ず、こちらも相性が良くないようです

LSX II 音質について

デスクトップ環境での使用

ここからはスピーカーマニアから見た「音」についての印象をお話ししたいと思います。

まず最初にデスクトップ環境で試聴しました。スピーカーまでの距離は約80cmの超ニアフィールド環境です。KEFの音響技術と言えば独自の同軸ドライバー「Uni-Q®」が有名です。ウーファーの中心にツイーターを配置し、各ユニットの音響中心を一致させるという技術です(点音源化)。

この点音源を追求したスピーカーは「ニアフィールド(近距離視聴)に強い」というのが私の印象です。ニアでは特に各ユニットの繋がりの違和感、音色感の違いが顕著に表れ、スピーカーの欠点がより明確になります。LSX IIはこれらの問題を高次元で解決していると思います。視聴距離が1m以下の状態でも低音から高音まで音色の一体感があり、ボーカルや楽器の位置が分かりやすく、3次元的な音の広がりもよく感じられます

音色自体は透明度が高く素直な印象です。クセが非常に少なく、コンシューマー機でありながら少しモニタースピーカー寄りの音作り。ただそこまで解像感や精微さを追求せず長時間リラックスして聴けます。特に中域~超高域までがとても澄んでいて気持ちいいですね。個人的にはピアノの音色がモニタースピーカーほど無味乾燥にならず潤いがあり、きれいだと思いました。この手のスピーカーは上流で音色を好みに持っていくことができず欠点のカバーが難しいのですが、デフォルトの状態で完成度の高い音色でその心配は杞憂でした。

気になる点として、背後の壁が近い状況だとやや籠った音になります。KEFのアプリによる補正である程度改善しますが、背後の壁との距離を取らないと完全な解消にはならないようです。これはこちらのスピーカーに限らず、リアバスレフの難しい点ですね。

Genelec 8331A、Neumann KH80との比較

アクティブスピーカーでは他にGENELEC 8331A(定価:726,000円)とNEUMANN KH80(定価:169,400円)を所有しているので、そちらとも比較してみました。どちらもプロの方もよく使用されている、本格派モニタースピーカーです。

まず8331AとLSX IIの比較です。さすがに価格差が大きいこともあり、解像感、細部の表現の精微さ、空間の広さ、定位の精度、低音の深みなど、多くの項目で8331Aが有利です。8331Aは過去に使用してきたデスクトップスピーカーでも歴代最高クラスの完成度でありLSX IIとの物量差も大きく、フェアな比較とは言えませんでした。

ただ、そのような中でもLSX IIの方が好ましい点もありました。それは「高域の音色の自然さ」です。8331Aでは金属ツイーターの癖が僅かに高域に乗っているのが気になりケーブルなどで誤魔化しているのですが、LSX IIはデフォルトの状態でも中高域にかけての音色がとても自然で修正の必要性を感じません。同じ金属ツイーターなのにこれだけ癖を抑え込んでいるのが凄いです。

次にKH80との比較です。これは実力が非常に拮抗していますね。細部の表現、分離・解像感、定位の精度ではKH80が有利ですが、中~高域の伸び、音色の自然さと一体感、低域の階調表現、躍動感ではLSX IIが優れています。ピアノや女性ボーカルなどを聴くとLSX IIの方が僅かに「潤い」があり、非常に聴き心地が良く癒されます。
個人的にはモニター用途でしたらKH80、普段の音楽鑑賞でしたらLSX IIを選びます

以上は特性に優れたモニタースピーカーとの比較でしたが、LSX IIもかなり健闘しているのが意外でした。特に「音色の自然さ」「聴き心地」についてはより好ましいくらいです。そして何よりLSX IIはこの音の完成度でより多機能であることを忘れてはいけません

リビング環境での使用

最後に私のメインシステムを置いている部屋(12帖)でしっかりスタンドに乗せ、スピーカー周辺の空間を確保して実力を見てみました。

通常このサイズのスピーカーだと密度感や広がりが不足する場合が多いのですが、音離れがよくて十分部屋を満たしてくれます。内蔵アンプの駆動力も高いのか、サイズを超えたダイナミックさもあり密度も不思議と薄く感じません。目を閉じると、一回り大きいスピーカーが鳴っていると錯覚すると思います。イメージ的にはカジュアル寄りのスピーカーですが、やはり周辺の空間は確保したほうがデスクトップより数段気持ちよく鳴ってくれます。

LSX IIと同じ20万円の予算で、例えばパッシブスピーカー10万円、その他アンプやDAC・ネットワークストリーマー、ケーブルなどで10万円だとして現行製品群を見ると、この音質レベルを達成するのはかなり高難易度だと思います

終わりに

ここまでレビューを行ってきました。最後に長所と短所をまとめると、

■長所
同軸ドライバーによる抜群の定位感の良さ。
HDMI ARC対応によるテレビとの連携の良さ。
同価格で組んだセパレートシステムを上回る高音質。
万人に好まれる癖の少ない素直な音色、聴き心地の良さ。自然な空間表現・スムーズな3次元的な音の広がり。
スマホ一つですべて操作できる利便性。設置のスマートさ。
センスの良いデザイン。

■短所
同価格帯のモニタースピーカーに対してやや解像感・細部の表現が粗い。
サウンドバーなどと比べると設置環境によるパフォーマンスの差が大きい。
優れた空間表現を活かすためにスピーカー周辺の空間、特に背面の壁との距離は十分に確保する必要がある。
ゲーム機等とのワイヤレス接続では遅延が発生することがある。
アクティブスピーカー共通だが上流で音色の変化を楽しむことはできない。

以上になります。音質や機能性等を総合的に見て、忖度抜きに20万円という価格は安いと思いますし、今回の試聴を経てKEFというメーカーがとても好きになりました。より高価格帯の製品にも興味を持った所です。

最後までご覧いただきありがとうございました。

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